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センチメンタルな夜

ある夜、ダンナはいつものように娘を寝かしつけた後、ギターを担いでそっと家を出て行った。

・・・ライブの練習のために!!!ですよ!!!
家庭不和ではないですよぅ。

毎日仕事から帰って、いそいそと練習を始めるものの、
娘の相手をしながらでは今一つ集中できないし、
かといって娘が寝た後では近所迷惑だし娘も起きちゃうのでなおさら音なんて出せない。
よって、夜中のカラオケで一人じゃかじゃかと心置きなく練習してきたらしいのです。

じーん・・・・・。

その翌日、私は安達さん(プリン好きな方)との2回目のリハに挑みました。
スタジオに現れた氏は、連日のハードワークで明らかにお疲れのご様子でしたが、
リハが始まるとサッと表情を変えて、ものすごい集中力とセンスでもって演奏して下さいました。
しかも、よりよい演奏にするためにと、ご自身にかなり負担のかかるアイデアも出していただいて、
それ以上無理して体大丈夫ですか?倒れない?!って思いつつも、
お言葉に甘えて、やっていただくことになりました。
安達さんの体育会系のパワフルさは、この数カ月でじわじわわかってきたつもりでいますが、
相変わらず妥協のない姿勢に驚嘆と尊敬があふれて止まりませんでした。

それに引きかえ、下手くその極みである自分の歌に、
帰りの電車でリハの録音データを聴きながらダダ凹みするのも、もはや日課となりました・・・。
自分の下手さは今に始まったことじゃないのに。
でも、どうやっても思うようにできなくて、くやしい。

ふっと顔をあげて窓の外を見る。
同じ空の下、うちの娘と同じくらい小さくてかわいい女の子のお世話をしながら、
同じく本番に備えて準備している、
それでいて私とは比べ物にならないくらい上手い、真奈美さんのことを思う。

なんだか、全てのことがありがたくて、幸せで、涙が出る。
何がこんなに私を幸せにするんだろう。
驚くほどに心は満ち足りていて、見るものすべてがキラキラと愛おしく思える。
なんだろうこの感じは。

道を示して、支えてくれる人がいて、
絶望的にくやしくなる自分がいて、
どんなときもそばにいて支えてくれる家族がいて、
全てのことが幸せだと思う。

みんながこんなにも全力でサポートしてくれているのに、
それに応えたいのに、私、全然ダメだなぁ。

・・・ま、私に期待されているのは、そういう点ではないのだろうけどもね。
それをわかってても、やっぱりくやしくて、うまくなりたくて、
でも、今の自分は理想の自分には遥かに遠い。遠すぎる。
米粒ほどにしか見えないぜ。

自分が歌いたくて歌ってるだけだし、
聴いてる人の気持ちなんて考えたくもないし、なんつってやさぐれてた私は、
いつの間にか、
誰かを喜ばせたくて、必死にもがいてる。

なんだか青春だのう。

いろいろあったけど、いっぱい歌えて、楽しかったな。嬉しかったな。
そんな、本番6日前の夜。


☆11/6 リキタケカズヨ&浮揚真奈美ライブ『だいすきなものたち』
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オリジナル曲が完成しました!


ついに、完成しました。
紆余曲折を経て、ついに。

たった一つの曲を作るだけのプロセスに、なんだかいろんなドラマやミラクルがあったなぁ・・・。

※ちなみに今回の初のオリジナル曲作成は、安達充さんという方にお願いしています。
 (漫画家ではない。)
 私のボイストレーナーでもあり、今度のライブではピアノ伴奏もしてくださり、
 また安達さんが主宰する音楽イベントにおいても、またいろいろありまして、
 とにかく私がいま最もお世話になっている方なのです。

何よりもミラクルだったのは、ダンナ氏でした。
いや、彼は作曲工程には全く関わっていないのですよ、表面的には。
しかし以前ブログにも書きましたが、このようなことがありまして・・・。

【デモ音源とダンナの話】


で。
ダンナにこてんぱんにされた後、私は途方に暮れながら過ごしていたのですが、
ある日、歌詞のイメージが膨らんだので、とにかく形にしてみよう、と思って、
ぶっちゃけ詞ではなく詩ではありましたが、書いてみました。
そして次の打ち合わせの時に、雰囲気だけでも伝わればと、持って行ったのです。

しかしですね。
私には、デモ音源に合わせて文字数を調整するまでの余裕などなかったので、
全くメロディに合わない字余りな部分が続出し、
それどころか、当初はなかったはずのBメロが突然に登場するとかね、
もう散々だったわけですよ。

安達さんがいろいろアレンジを加えながら、
なんとか前回作ったメロディに言葉を載せようとしてくださるのですが、
あれこれしながらも、私たちの脳裏には、ダンナ氏の言葉が響くわけですよ。

「どうという感想もないね・・・」

「どっかで聞いたような・・・」

「ふーん、って感じ・・・」

「・・・で?」(あ、これは言われてません。妄想でした。)


しばらくの後、ついに安達さんが言いました。

「一度、白紙に戻してみましょうか。」

そこで、今まで積み上げてきた全てを忘れて、
私の希望する曲調やリズムと、持参した詞(のようなもの)をもとに、
新しくメロディを作り直して下さったのです。


そしたらねえ・・・

なんだか、とってもいい感じになりました(笑)。


「・・・なんか、ものすごくしっくりきます。」

「ですね。ノリもいいし、カズヨさんっぽい感じがすごく出てきましたね。」

「これですかね・・・ってか、これだと思います!!!」

「うん、これで行きましょう!!!」

というわけで、あっさりと、曲、完成。

後は、やさぐれすぎている詞を修正して、文字数を調整したらOKということになりました。

素直な私は、詞についてもダンナ氏に提出して、意見を仰ぎました。
ええ、私は彼のセンスを本当に信頼しているのです。
幸いこちらの方は、初めから好印象なようでしたので、
細かいところをいろいろ指摘してもらって、直していきました。
(これまた的確過ぎて耳の痛いハナシはありましたが・・・。)

インスピレーションが降りてくるまでじっと待つ、書く、ダンナ氏にダメ出しをくらう、という地道な作業を繰り返して・・・

やっと詞も完成したのであります!!!

はぁぁぁぁぁあ。


そういうわけで、ダンナなしにこの世紀の名曲が生まれることはなかったのです。
もしあの日、デモ音源を聴いたダンナが適当な褒め言葉でお茶を濁していたら、
私はあの音源に合うような詞を頑張って書いたに違いないし、
そうしたら、よりよいものなど生まれる余地もなかったのだと思うと、
いやはや、人生とは実に面白いものですな。

なんか最近、こういうパターン多いな。
自分の望む結果が得られなくて、ずずーんって凹むんだけど、
結果的にそのおかげで、望む結果よりも何倍もいい結果になるっていう。
ミラクルだねえ。

そういえば昔、やたら勘のいい友人に
「カズちゃんはミラクルを起こす人だから。」
って言われて、なんとなく嬉しくて今もそのことを覚えているんだけど、
本当にそうなのかもしれないと思う、今日この頃。

そんなミラクルな私と、なんだか同じ匂いのする真奈美さんのミラクルなライブは、11月6日の昼下がりですよ。
今度は何が起きるのか。お願いしますよカミサマ。

リキタケカズヨ&浮揚真奈美ライブ『だいすきなものたち』

「大好き!」を仕事にした歯科医の話


先日、今度のライブではとにかく大好きを追求する的なブログを書いたせいだろうか。
その後、引き寄せるように奇妙な出会いがあった。

久しぶりに歯医者に行こうと思い立ったときのこと。

特に異常があるわけではないのだが、
最後に歯医者に行ったのは数年前のことで、
そろそろクリーニングやら健診をしてもらおうと思ったのである。

で、手近な近所の歯科が、繁盛していてよさそうな印象だったので、行ってみた。

歯科医は、私と同年代と思われる、気のいい男性であった。
幸い虫歯はないとのことだったのだが、
「汚れがたまっているので、歯石とかクリーニングしますね」といってされたその処置が・・・

激痛!!!

なんで?なんで虫歯の治療でもないのにこんな痛いの?!
今まで何度も受けてきた処置のはずなのに、なにこの痛さ!ありえん!!!

身振り手振りで痛いアピールをしてみても、
「あ、痛かったですね。すみませんね~。」
「もうちょっとですからね~。」
と、華麗に受け流すだけで、
彼は一向に手加減する様子もない。

うがいをしたら、なんか血まみれだし・・・。

処置が終わって茫然とする私に、歯科医は笑顔で言った。

「いやいや、すみませんね。
 ホントはこういうのは歯科衛生士がやるんですけどね、今日はちょっと人手がなくてボクがやっちゃいました。
 だから痛かったでしょ~?」

え、ええ・・・とても。

「ごめんなさいね、ホントは1回目でここまでやらないんですけどね。
 歯茎の奥の方に歯石が見えるとつい、あぁもうちょっと、もうちょっと取りたい!って思っちゃうんですよ。
 ついつい、いっちゃうんだよね~。」

・・・・・どうりで、血も出るわけですな。

「ははは。でもつるっつるにきれいになると、気持ちがいいですもんねぇ。
 ほら、ボクの歯なんてこうですよ。」

そう言って二カッと笑った歯科医の歯は、歯磨き粉のCMみたいに眩しいほどに白く輝いていた。

うわ!すっごいキレイですね!!

「でしょ~?ボク、今日すでに10回は歯磨きしてますからね。」

は・・・?10回?!

「朝起きて1回、朝ごはんのあと1回、出勤してすぐ1回、休憩でお茶を飲んだときも磨くし、お昼ご飯の後も・・・うん、10回磨いてますね(キラッ)。」

ま、まじすか・・・。

「ちょっとでも口の中に違和感があるとね、気になるんですよ。
 ほら、あなたの今の口の状態、わかるでしょ。
 そこからちょっとでも変わったら磨くの。」

・・・・・歯をきれいにするのが、本当にお好きなんですね。

「ははははは。じゃあまた一週間後に来てください。それで残ってる分もキレイにしましょう。」

心底楽しそうに語る歯科医を見ていて、思った。
「好きを仕事にする」って、すげえ・・・。

しかし、この場合、患者の立場はどうなるのだ?
あんたは欠片も残さず歯石を取り除いて嬉しいだろうが、
激痛に耐えるあたしのことは、どうでもいいと?!

・・・どうでもいいいんでしょうな、歯が美しくなれば。

「好き」をここまで貫く歯科医にある種の尊敬の念を覚えつつ、
次回の診療の時はぜひとも衛生士さんにお願いしたいと切に願う私であった。

さて・・・・・。
私はどこまで好きを貫くべきか。
しかしあの歯科医の域に達するまでには、まだまだ精進が足りないだろうから、
当分はそんな心配は無用か。

ちなみに、帰ってダンナにこの話をしたら、
「その人ビョーキだよね?」
って冷静につっこまれた。わはは。

誕生日のこと。


今週、私は38歳になった。
その前日の夜のこと。

ふと、今日で自分は死ぬと思った。
翌日からはまっさらな自分が、今の自分の代わりを生きていくのだと。

新しい私に生まれ変わるのよ☆みたいなキラキラした感じじゃなくて(笑)。

だって、今の私は死ぬんだもの。
そして全くの別人が、明日から私に成り替わる。
今の自分は報われないまま一生を終えるわけだから。

「自分はみんなと同じようにできない。」

これは、はるか昔からいつまでも私の中に根強く残る想い。
いや、もはや呪い。

至極しょうもないことで言えば、
超寒がりのくせに、無理に周りの人と同じくらいの薄着してみたり、とか。
本当は人の倍は着ないと、冷え切って指も動かなくなるのに。
(まさに先日、薄着でカフェに入って凍える思いをしたので、自戒を込めて・・・)

そして、脚のひどいO脚。
このことは、どちらかと言えば、できないことの裏付け(言い訳)と化している。

自分はみんなと同じように歩けない。
だってほら、こんな脚だもの。しょうがないじゃない。的な。

なんとなく、この思い(呪い)が解けたら、脚は勝手に治っていくような気もしている。
全てを諦めて手放すとかしたら。

でも、膝を治すために思いを手放そう、なんてことになると、
たちまちおかしな方向へ落ちていくであろうことは、試さずともわかる(笑)。

そんなこんなで迎えた誕生日。そして以降の私はというと・・・

今の自分が生まれ変わった自分かどうか、なんて、確かめる術はない。
呪いが解けたかどうかも、わからない。
そりゃそうだ。
本当に以前の自分が死んだとしたら、もう当時の感覚はないのだから、
今と昔を比べることなんてできない。
記憶がある以上、表面的には、今までと同じように人生は続いているように見える。

でも、本当はもう、何度も何度も死んでいるのかもしれない。
果てしなく転生を繰り返しているのかもしれない。
命もやっぱり、フラクタルでさ、
前世と今世と来世の関係は、
昨日と今日と明日と同じで、一秒前と今と一秒後と同じで。
そういうもんかもしれない。

自分が子供を産んで以来、誕生日には不思議な気持ちになる。
なんでここに産まれてきたんだろう。
なんであの両親を選んだんだろう。
自分は何をしたかったんだろう。
自分は、どうやって死んでいくのだろう。
そんなこと。

子どもの頃は、ただ嬉しいだけだった誕生日が、
実は運命を決定づけたものすごい日なんだよなぁとか思って、
なんか、自分、すげえなって思う。

プロフィール

リキタケカズヨ

Author:リキタケカズヨ
声と言葉で世界を変えていく、
子どもであり、大人であり、アーティストであるところの人。

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