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やさぐれガエルの一生


むかーしむかし、あるところに、一匹のカエルがいました。
カエルは毎日、家でひとり、お酒を呑んでいました。
なぜかというとこのカエル、奥さんに逃げられてしまったのです。
それで、酔っぱらいになって、さみしい気持ちをまぎらわそうと思ったのでした。

けれど本当のところ、カエルは下戸なので、ほとんどお酒が呑めません。

いつもちいさなコップにほんの少しだけお酒をついで、
ちびちびと舐めるように飲んでは、
だらしない格好で座ってみたり、クダを巻いてみたりと、
酔っぱらいのフリをしているのでした。

「うぃー、あぁ酒はウマイ!これがないとやってらんねえぜ。
 人生ろくなもんじゃねえ。もうオレには酒しかねえのさ、うぃー。」

ある日もそうやって、ひとりやさぐれていると、そこへリスがやってきました。

「カエルさんカエルさん、お花見に行かない?
 外にはキレイな花がたーくさん咲いてるよ。」

「なにぃ?このオレに花なんか愛でろって言うのか?冗談じゃねえ!」

「でもカエルさん、お花見のときはみんなお酒を呑むんだよ?」

「なるほど、人間たちがよく桜の木の下でやってるやつか。
 ふむ、悪くない。」

そこでカエルは、リスと一緒に出かけることにしました。

リスが案内したのは一面のお花畑。
菜の花やタンポポやスミレやチューリップ、色とりどりの花が咲いています。

「やいやいやい、こーんなちんまりした花を見ながら酒を呑めってのかい?
 お子様じゃねえんだぞ。」

「いいからいいから。」

リスはにこにこして、カエルにお弁当箱を渡しました。

「なんだよこのおもちゃみたいな弁当は。
 オレは枝豆とかたこわさとかナンコツが・・・」

「まぁまぁちょっと食べてみて。きっと気に入ると思うんだ。」

「しょうがねえなぁ・・・もぐもぐもぐ。お?これ、意外と・・・いけるな。」

「よかった!カエルさん、いっぱい食べてね。」

「おお、こっちもウマイな、ほうほう。」

「よかったらお茶もどうぞ。」

「おお悪いな。あー、いい味だ。」

二人はおいしいお茶とお弁当で、カワイイ野の花を楽しみました。



「ああ、今日は楽しかった。いやはやこんなのは久しぶりだ。」

「ねえカエルさん、もうさ、やさぐれるのはやめて、毎日、今日みたいに楽しく過ごそうよ。
 カエルさん、本当はお酒呑めないんでしょ?」

「ぐっ・・・そ、そういう訳にはいかねえ。こういうのはたまにだからいいんだ。
 オレには明るい陽の元での生活なんて似合わねえのさ。
薄暗くて陰気なとこで呑んだくれてるのがお似合いなんだよ。」

「そうかなぁ・・・?」

リスは首をかしげます。

「あ!じゃあさ、カエルさん、今度は新緑の頃に、川で魚釣りしようよ。
 釣った魚をその場で焼いて食べるの。おいしいよ~。」

「ケッ。だからそんな健全な遊びはオレには無理なんだよ。」

「でも、焼き魚はお酒のおつまみにぴったりだよ?」

「・・・そ、そうか・・・まぁ・・・たまにはそういうのも・・・アリかもな。たまには。」

「やったぁ!じゃあまた誘いに行くね!」

「お、おう・・・。」


家に帰ったカエル、いつものようにだらしなく座って、小さなコップにお酒をつぎます。
そしていつものようにクダを巻いて・・・
でも、心の中ではさっきから、
壁に貼ってあるカレンダーの日付が気になって仕方ないのでした。



【2014.4.2 タイジ17w4d】


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Author:リキタケカズヨ
声と言葉で世界を変えていく、
子どもであり、大人であり、アーティストであるところの人。

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